法人における青色申告のメリットとは?
青色申告というと個人事業主のイメージがありますが、法人にも青色申告があります。青色申告に様々なメリットがある点は個人事業主と同じですが、違う点もあります。
そこで今回は青色申告のメリットやデメリット、法人と個人の青色申告の違いなどについて解説します。
目次
法人の青色申告とは?
個人事業主の青色申告の普及率が50%程度であるのに対して、法人は90%に達していることから法人にとって青色申告をすることは一般的であるといえます。
所得税や法人税、相続税などでは税金を計算する方法として納税者自ら収入や税額を計算する「申告納税方式」が採用されています。
この税額を計算する方法の一種として「青色申告」があります。
青色申告をわかりやすくいうと、収入金額や必要経費など日々の取引状況を網羅的に記録することにより正しい税額を計算する申告の方法です。
法人税の納税額を正確に計算するためには複式簿記により網羅的に記帳をすることが必要となるため、法人では青色申告が一般的になっています。
青色申告のメリット!
青色申告には様々な特典がありますが、主なものをまとめると以下のようになります。
① 欠損金の繰越控除
② 欠損金の繰戻還付
③ 少額減価償却資産の特例
④ 中小企業投資促進税制(特別償却や税額控除)
①赤字を最長10年間繰り越すことができる!
青色申告書を提出した事業年度に赤字が生じた場合は、最長10年間までその欠損金額を繰り越すことができ、所得金額から控除することができます。
翌期以降の黒字と相殺できるため、納税額を抑えることが可能となります。
欠損金の繰越控除は次のような条件を満たしている場合に適用することができます。
・欠損事業年度に青色申告書である確定申告書を提出していること
・欠損が生じた事業年度以降に連続して確定申告書を提出していること
なお、中小法人等以外の法人については、限度額が「所得金額×50%」となるので注意が必要です。
②欠損金の繰戻還付を受けることができる!
前期以前も青色申告をしている場合で、今期に赤字が出たときは前期分の所得金額にその赤字を繰戻して、還付を受けることができます。
欠損金の繰戻還付は次のような条件を満たしている場合に適用することができます。
・青色申告書を提出する事業年度において欠損金額が生じていること
・欠損が生じた事業年度まで連続して青色申告の確定申告書を提出し、欠損が生じた事業年度の確定申告書を提出期限までに提出していること
なお、この繰戻還付を受けることができる法人は中小法人等になります。
③減価償却の特例を受けることができる!
パソコンや車など10万円以上のものは、原則として一括で損金に参入することはできず耐用年数に応じて減価償却しなければなりません。
しかし、青色申告をしている場合は30万円未満の固定資産は年間300万円まで購入した年に全額費用処理することができます。
この特例は青色申告をしている場合で中小企業者であれば受けることができます。
④特別償却や税額控除を受けることができる!
青色申告書を提出する中小企業者などは、新品の機械や装置などを所得した場合に特別償却または税額控除をすることが認められています。
限度額については以下の金額になります。
特別償却の場合の限度額 → 「基準取得価額×30%」
税額控除の場合の限度額 → 「基準取得価額×7%」
青色申告にするための必要な書類は?
青色申告をするためには「青色申告の承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
提出期限については、青色申告により申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までとなります。
ただし、設立事業年度については「設立の日以後3月を経過した日」と「事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日までとなるので注意が必要です。
まとめ
今回は法人の青色申告についてそのメリットや必要書類について説明しました。青色申告の承認申請書は1日でも遅れると青色申告にすることができないので忘れず提出しましょう。
法人の場合は青色申告により10年間の繰越控除が認められるなど個人事業主の3年よりも適用年数が長くなっています。法人を設立した方は青色申告による確定申告書の提出を積極的に行い上手に節税するようにしましょう。