調整対象固定資産を取得した場合についてわかりやすく解説!

前回は高額特定資産について解説しましたが、似たような制度として調整対象固定資産というものがあります。調整対象固定資産を取得した場合も納税義務に大きな影響をもたらすため今回はこの制度について解説します。

調整対象固定資産とは?

調整対象固定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜)が 100 万円以上の建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、 鉱業権等の資産で棚卸資産以外のものをいいます。

調整対象固定資産の具体的な範囲

調整対象固定資産には下記のようなものも含まれます。

・特許権、商標権
・ゴルフ場利用株式
・電気ガス供給施設利用権
・回路配置利用権
・課税資産を賃借するために支出する権利金等
・ソフトウエアの購入費用等
・書画、骨董
・上記の資本的支出

調整対象固定資産を購入した場合の影響は?

納税義務の免除の特例

課税事業者を選択した事業者が一定の期間内に調整対象固定資産の仕入を行った場合は、仕入を行った課税期間から3年間納税義務は免除されず、簡易課税制度の適用もできません。

注意点

新設法人などに該当する場合は基準期間がない課税期間についても納税義務が免除されないという規定がありますが、こちらの場合も同様に一定の期間内に調整対象固定資産の仕入れを行なった場合は3年間納税義務は免除されず、簡易課税制度の適用もできません。

仕入税額控除の調整

課税事業者が調整対象固定資産を購入し、その購入した課税期間と翌期以降の課税期間(第3年度)の課税売上割合が著しく変動した場合や転用を行なった場合は、第3年度の課税期間において控除対象仕入税額に一定の調整を行います。

なお、課税売上割合が大きく変動した場合は第3年度の課税期間の末日においてその調整対象固定資産を保有していることが要件となるため、それまでに譲渡等を行なっている場合はこの調整を行う必要はありません。

課税売上割合が著しく変動した場合の要件とは

課税売上割合が著しく変動した場合に該当する場合の要件は下記の4つとなります。

① 課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等を行なったこと
② その仕入等を行なった課税期間において比例配分法により消費税額を計算していたこと
③ 第3年度の末日においてその調整対象固定資産を保有していること
④ 第3年度における通算課税売上割合が仕入等を行なった課税売上割合に対して著しく変動していること

転用があった場合の要件とは

調整対象固定資産の転用があった場合の要件は下記の3つとなります。

① 課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等を行なったこと
② その仕入等を行なった課税期間において 個別対応方式の課税売上対応または非課税売上対応により消費税額を計算していたこと
③ その仕入等を行なった日から3年以内に転用をしていること

まとめ

今回は調整対象固定資産を取得した場合の影響について解説しました。

調整対象固定資産を取得した場合も高額特定資産を取得した場合のように納税義務が免除されないという規定があります。また第3年度での調整が必要となるため、調整対象固定資産を購入した場合には消費税額の計算をする際は注意しましょう。