高額特定資産を取得した場合は要注意!
消費税法では高額特定資産を取得した場合には納税義務の免除や簡易課税制度の適用について制限を受けるため注意する必要があります。今回はこの高額特定資産を取得した場合の影響についてわかりやすく解説します。
目次
高額特定資産とは?
高額特定資産とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額 (税抜)が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産のことをいいます。
調整対象固定資産とは
調整対象固定資産とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜)が 100 万円以上の建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、 鉱業権等の資産で棚卸資産以外のものをいいます。
高額特定資産を購入した場合の影響は?
高額特定資産を購入した場合の制限
高額特定資産の仕入れ等を行なった場合は、課税事業者が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に、高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合には、取得日の属する課税期間の初日から3年間納税義務は免除されません。また簡易課税への変更も行うことができません。
注意点
令和2年度の税制改正によりこの免除の特例に「棚卸資産に係る消費税額の調整」の適用を受けた場合も加えられました。
通常は免税事業者や簡易課税制度の適用を受けている事業者には上記の適用はありませんが、免税事業者が「棚卸資産に係る消費税額の調整」の適用を受けた場合は納税義務は免除されないため注意が必要です。
すでに簡易課税制度を適用していた場合
高額特定資産を取得する前から簡易課税制度の適用を受けていて、高額特定資産を取得した課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えていることによりその期が原則課税になった場合には、3年間は納税義務は免除されません。
しかし、簡易課税については高額資産を購入した課税期間の翌課税期間及び翌々課税期間については、それぞれの基準期間における課税売上高が5,000万円以下であれば簡易課税制度の適用を受けることができます。
自家建設高額特定資産の仕入等を行なった場合
課税事業者が、自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合には、その自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合にもその自己建設高額特定資産の建設等が完了した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は、納税義務は免除されず簡易課税の適用もできません。
自己建設高額特定資産とは
自己建設高額特定資産とは、他の者との契約に基づき、またはその事業者の棚卸資産もしくは調整対象固定資産として、自ら建設等をした高額特定資産のことをいいます。
まとめ
今回は高額特定資産を取得した場合の影響について解説しました。
高額特定資産を取得した場合は納税義務が免除されず影響が大きくなるため注意が必要です。
通常は高額特定資産を取得した場合は仕入税額控除が大きくなるため納税額が減額されることが見込まれますが、3年間納税義務が免除されないため翌課税期間や翌々課税期間の影響についても検討する必要があります。