譲渡所得とは?計算方法をわかりやすく解説!
個人が資産を売却した場合は譲渡所得という所得が発生します。今回はこの譲渡所得について特に土地や建物を売却した場合の取り扱いを解説します。
目次
譲渡所得とは?
譲渡所得とは、個人が資産を売却した場合に得る所得のことをいい、具体的には不動産や株式などを売却した際の所得が該当します。
譲渡所得の計算方法は?
譲渡所得は、資産ごとに以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得 🟰 譲渡代金 ➖ (取得費 ➕ 譲渡費用)
注意点
譲渡所得は、土地・建物や株式など単体で計算する分離課税のものと、車両や備品など納税者の他の所得と合算して計算する総合課税に該当するものがあります。
土地・建物等の取得費とは?
土地・建物等の譲渡所得の計算上、取得費に該当するものには以下のようなものがあります。
・土地や建物の購入代金、建築代金
・購入時の登録免許税、不動産所得税、印紙税(※業務の用に供される資産の場合は含まない。)
・購入したときの登記費用
・造成費用
・違約金など
注意点
・譲渡資産が建物など減価償却資産の場合は、譲渡時までの減価償却費を差し引く必要があります。
・取得価額が不明の場合は譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることができます。
土地・建物等の譲渡費用とは?
土地・建物等の譲渡所得の計算上、譲渡費用に該当するものには以下のようなものがあります。
・仲介手数料や収入印紙代
・所有権移転登記費用
・譲渡のための取り壊し費用
・立退料
・解約違約金など
注意点
・下記のような費用は譲渡費用に該当しないため注意が必要です。
譲渡資産に係る固定資産税
住所変更登記費用
抵当権抹消費用
家屋等の修繕費
振込手数料など
土地や建物を売却した場合の譲渡所得の税率は?
土地や建物を売却した場合は、保有期間が5年以下の場合における短期譲渡所得と保有期間が5年超の場合における長期譲渡所得に分かれます。
短期譲渡所得の税率39.6%(所得税30.63%+住民税9%)に対して長期譲渡所得の税率は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)と税率が大きく異なります。
注意点
短期譲渡所得か長期譲渡所得になるどうかは、売却した年の1月1日現在での所有期間で判定するため注意が必要です。
土地や建物の売却により確定申告が必要な場合は?
土地や建物を売却したときに確定申告が必要となる場合は、課税所得が出たときです。このため利益が出た場合は基本的に確定申告を行う必要があります。また特例を受ける場合には必ず申告をする必要があります。
節税のポイント!
土地や建物の売却を行う際の節税のポイントは以下のような点になります。
長期譲渡所得の活用
短期譲渡所得か長期譲渡所得かにより税率が大きく異なるため、譲渡のタイミングを調整することにより節税を行うことが可能となります。
特例の利用
土地建物等の譲渡所得には下記のような特別控除が受けられることがあるため必ず確認しておく必要があります。
・収用などによる資産の譲渡 ・・・特別控除額5,000万円
・居住用財産の譲渡 ・・・特別控除額3,000万円
・被相続人の居住用財産の譲渡 ・・・特別控除額3,000万円
・特定土地区画整理事業等での譲渡 ・・・特別控除額2,000万円
・特定住宅地造成事業等での譲渡 ・・・特別控除額1,500万円
・農地保有の合理化等のための農地等の譲渡 ・・・特別控除額800万円
その他の特例など
自分が居住している不動産については、3,000万円特別控除のほかに、軽減税率の特例や買換えの特例、譲渡損失が出ている場合は損益通算や繰越控除の特例があります。
まとめ
今回は譲渡所得の計算について解説しました。
譲渡所得がある場合の税金の計算は、普段確定申告をされてない方が多いことや計算も複雑になりがちなため細心の注意を要します。例えば、取得費に該当するか否かなどや減価償却費の計算、特例の適用の有無などを含めて複雑な場合が多いため、事前に税理士に相談されることをおすすめします。