医療法人の理事・監事や社員とは?

医療法人を設立する際は理事など役員をおく必要があります。また医療法人には社員という立場も存在しますが、役員とは異なる機関となります。今回はこの理事など役員と社員との違いや注意点などを解説します。

医療法人の役員とは?

医療法人は役員として理事三人以上及び監事一人以上を置かなければなりません。

理事とは?

医療法人における理事とは、株式会社でいうところの取締役に相当するものです。この理事の中で医療法人を代表する存在が理事長になります。

理事長は医療法の規定により原則として医師または歯科医師でなければ就任することができません。
これは医師又は歯科医師でない者の実質的な支配下にある医療法人において、医学的知識の欠陥に起因し問題が発生するような事態を未然に防止しようとする趣旨からです。

ただし、例外として都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる以下のような場合がありますが、審査基準はかなり厳しいためあくまでも例外的なものと考えておく必要があります。

① 理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった際に、その子女が、医科又は歯科大学(医学部又は歯学部)在学中か、又は卒業後、臨床研修その他の研修を終えるまでの間、医師又は歯科医師でない配偶者等が理事長に就任しようとするような場合

② 次に掲げるいずれかに該当する医療法人
1 特定医療法人又は社会医療法人
2 地域医療支援病院を経営している医療法人
3 公益財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価による認定を受けた医療機関を経営している医療法人

③ 候補者の経歴、理事会構成(医師又は歯科医師の占める割合が一定以上であることや、親族関係など特殊の関係のある者の占める割合が一定以下であること。)等を総合的に勘案し、適正かつ安定的な法人運営を損なうおそれがないと認められる場合

監事とは?

医療法人における監事は、医療法人を監査する立場にあり以下の3つを職務としています。

① 医療法人の業務の監査
② 医療法人の財産の状況を監査
③ 医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後三月以内に社員総会又は評議員会及び理事会に提出

監事は「当該医療法人の理事又は職員を兼ねてはならない。」との規定が医療法に置かれているため理事や職員は監事となることができません。

また厚生労働省により監事は「他の役員と親族等の特殊の関係がある者ではないこと」と通知されていることから役員の親族や顧問税理士など特殊関係者は監事として適当ではないとされているため、監事の人選はハードルが高いものとなっています。

医療法人の社員とは?

医療法人の社員とは、株式会社でいうところの株主(出資者)に相当するもので、従業員のことではありません。

重要

医療法人の社員は、1人1票の議決権を持つことになります。そして社員は社員総会により理事の選任や解任を決議することができるため、病院経営にあたっては社員の過半数を理事長の信頼のできる味方で固めておくことが非常に重要となります。

まとめ

今回は医療法人の役員や社員について解説しました。

監事の人選はハードルが高く、社員総会で理事の解任ができるため社員についても経営面からは十分に注意しておく必要があります。