家事消費(自家消費)とは?会計処理や計算方法などわかりやすく解説!

今回は個人事業主が事業用の商品などをプライベートで使用する場合は経理処理が必要となりますが、適切に処理されていない場合も多いため、今回はこの家事消費について解説します。

家事消費とは?

家事消費とは、個人事業主が事業用の商品や製品などの棚卸資産やその他の資産を自分や家族のためなどに消費した場合のことをいいます。

個人商店や飲食店など売れ残りの商品をプライベート用として使用することは一般的に行われていますが、何も処理しなければ税務調査で指摘される可能性もあるため適切に処理をするようにしましょう。

家事消費に該当するもの

売れ残りの商品を事業主自身や家族が食べた場合

飲食店の売れ残りの商品を経営者自身や家族が食べた場合はプライベートで消費しているため家事消費に該当します。
また従業員に賄いを提供した場合も家事消費となります。

商品を友人にプレゼントした場合や割引価格で販売した場合

プレゼントとして贈与した場合や割引価格で友人に販売した場合も家事消費に該当します。割引価格で販売した場合は定価と販売価格の差額分を家事消費として計上します。

家事消費に該当しないもの

美容師が友人に無料で髪を切ってあげた場合

家事消費の対象となるものは商品や製品などの棚卸資産のみです。このため「サービス」については対象外となります。

事業用の車を友人にあげた場合

車など減価償却資産に該当するものは棚卸資産ではないため、たとえ友人に車をあげた場合でも家事消費には該当しません。

家事消費の計算方法は?

家事消費の金額の計算方法は所得税法上、以下の2つの方法があります。原則は①の定価で計上する方法ですが、特例として②で計上することも認められています。

① 通常の販売価額(定価)

② 以下のいずれか高い方の金額
  ・資産の仕入価額以上
  ・定価の70%に相当する価額

家事消費の仕訳例

具体例 : 販売価格が10,000円、仕入価額が4,000円の商品を事業主が消費した場合

この場合は、仕入価格4,000円販売価格10,000円×70%=7,000円を比較した結果、7,000円の方が高いためこの金額を用いて以下のような仕訳を計上します。

なお、原則的な方法では定価である10,000円を計上することになるため、特例を利用した方が基本的には節税につながります。

借 方金 額貸 方金 額
事業主貸7,000家事消費7,000

注意点

・飲食店などで従業員に賄いを提供する場合は、定価がないため仕入価格や原価率を用いて1食あたりの販売価格を計算し、さらに人数分や日数などから1か月あたりまたは1年間の家事消費を計算します。

・消費税がかかる場合は、所得税法と消費税法で計算方法が異なるため、消費税法を基に計算した金額は課税売上として家事消費を計上し、所得税法を基に計算した金額を不課税売上として家事消費を計上します。

確定申告書への記載方法

青色申告決算書と白色申告の収支内訳書ともに「家事消費」という欄があるのでここに金額を記載するとともに売上金額にも家事消費分を合計して記入する必要があります。

まとめ

今回は個人事業主の家事消費について解説しました。

家事消費を知らなかったため計上できていないケースが多く見受けられる項目になりますが、税務調査時に指摘されやすい項目でもあるため家事消費がある場合は必ず計上するようにしておきましょう。