小規模企業共済と倒産防止共済による節税とは?

節税対策として小規模企業共済や倒産防止共済を検討している方がいらっしゃると思いますが、今回はこれらを使った節税や注意点について解説します。

小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、個人事業主者や中小企業の経営者が廃業や退職時の生活資金などのために積み立てることができる退職金積立制度です。

政府系の独立行政法人である「中小企業基盤整備機構」が運営している制度であるため、安全性が高い点が特徴です。

また、掛金は月額1,000円~70,000円の範囲で選択でき、全額を所得控除できるため高い節税効果があり、翌年分の前納一括払いを選択することにより黒字が見込まれる期に所得を抑えることが可能です。

受取時は一括で受け取る場合は「退職所得」、分割で受け取る場合は「公的年金等に係る雑所得」となり、受取時にも税制優遇を受けることができます。

もしものときのために貸付制度もあり、掛金の範囲内で借り入れをすることができます。金利は1.5%で借入期間が6ヶ月または12ヶ月の場合は一括返済、借入期間が24ヶ月・36ヶ月・60ヶ月の場合は6ヶ月ごとの均等返済となります。

注意点

①15年以上の掛金納付で受給権があり、20年以内の任意解約は元本割れするので注意が必要です。ただし、廃業した場合は「共済金A」という種類になり、この場合は例外です。(6か月以内は通常通り掛け捨てになります)。

②共済金Aは退職所得か雑所得で受け取れますが、雑所得で受取るためには条件があります。

③任意解約の場合は12か月以上掛けると8割の共済金となります。

④中小企業退職金共済に入っている場合や事業継続1年未満である場合は小規模企業共済には加入できません。

⑤任意解約した場合の解約手当金は退職所得ではなく一時所得である点には注意が必要です。

倒産防止共済とは?

倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは、取引先が倒産した場合に必要となる事業資金の借り入れができる制度です。

小規模企業共済と同様に「中小企業基盤整備機構」が運営しています。

掛金は月額5,000円~200,000円の範囲内で、上限800万円まで積み立てることができます。全額を必要経費として計上することができ、1年以内の前納はまとめて経費に参入することができます。なお、800万円まで積み立てたあとは、任意のタイミングで解約することが可能です。

掛金の支払期間が40か月以上で解約の際に掛金の100%が戻ってきます(12か月の場合は8割が戻ってきます。その後5%ずつ増加)。ただし、12か月未満は掛け捨てとなります。

注意点

①解約手当金は雑収入として課税されるので解約のタイミングに注意する必要があります。

②掛金を減額する場合のみ事業規模縮小などの理由が必要となります。

③必要経費に入れる場合は確定申告時に個人は「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」、法人は「法人税申告書の別表10⑹」を忘れずに添付する必要があります。

まとめ

今回は小規模企業共済と倒産防止共済について解説しました。

小規模企業共済や倒産防止共済は節税効果が高く、いざというときには借入もできるので心強い味方となります。これらは併用することができるのでiDeCoなどと共に上手に利用して節税しましょう。