交際費とは?会計処理の注意点を解説!

法人が得意先など事業関係者に対して支出した金額は、会計上は原則として費用計上が認められていますが、法人税の計算においては損金算入に一定の制限があります。今回は交際費の仕訳上の注意点などについて解説します。

交際費について

交際費とは?

法人税法では勘定科目にかかわらず、①得意先や仕入先など事業に関係ある者に対して②接待や慰安・贈答などの行為を、③取引関係の円滑な遂行を目的として支出したものを交際費と判断します。

実務上では交際費と接待費の区別が難しい場合もあり、このような費用を交際費に計上するなど判断を疎かにしていると、あとになって多額の税金が課せられることもあるので注意が必要です。

また、交際費は税務上の指摘事項になりやすく、日頃から適切に会計処理をしておくことが重要となります

交際費に該当するものとしないものは?

交際費や福利厚生費、会議費をまとめると以下の図のようになります。「接待飲食費」とは社外飲食費のうち、1人当たりの支出額が5,000円超のものをいいます。

交際費に該当するもの!

交際費に該当するものとしては、得意先や仕入先などに対して、飲食店などでの接待に係る費用や旅行などに招待する費用、中元や歳暮の贈答に要する費用などが交際費となります。

交際費は原則として損金算入ができないので、交際費に該当しない「会議費」や「福利厚生費」、「広告宣伝費」、「研修費」、「支払手数料」などに該当しないかをまず判断し、これらに該当しないものを最終的に「交際費」として処理するほうが節税につながります。

交際費に該当しないもの!

①接待に係る飲食費など(5,000円基準)

社外飲食費で1人当たりの支出額が5,000円以下のものは交際費に該当せず、「会議費」で処理します。
なお、社内のみの飲食費の場合は除かれるため最低1人は社外の人を含める必要があります。社内飲食費の場合は交際費として処理します。

この規定を適用するためには以下の事項を記載した書類の保存が必要となります。

①飲食等のあった年月日
②飲食等に参加した得意先などの氏名(名称)とその関係
③参加した人数
④飲食の金額、飲食店の名称と所在地
⑤飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要なその他の事項

上記の内容はほとんどレシートに記載されているので、実務上はレシートに取引先名と人数等を記載するのが簡単な方法です。

②会議費

会議に関連して支出した茶菓や弁当などの費用は「会議費」となります。

会議に関連する費用は5,000円を超えている場合であっても会議費として処理することが可能です。

③福利厚生費

従業員の慰安のためのに行われる運動会や旅行などの費用は「福利厚生費」となります。

④広告宣伝費

社名や製品名入りのカレンダーや手帳などの物品の贈答費用は広告宣伝の性格を有するため「広告宣伝費」として処理します。

交際費の損金算入限度額とは?

①期末資本金または出資金の額が100億円超の会社

期末資本金の額が100億円を超える会社は支出交際費等の額全額が損金不算入となります。令和2年の税制改正により交際費等の損金算入が一切認められなくなっています。

②期末資本金または出資金の額が100億円以下の会社

A.接待飲食費の額の50%が損金算入

期末資本金の額が100億円以下の会社は「接待飲食費の額×50%」が損金算入可能となっています。

③期末資本金または出資金の額が1億円以下の会社(中小法人)

A.接待飲食費の額の50%が損金算入

上記で説明した通り期末資本金の額が1億円以下である中小法人であれば接待飲食費の額×50%」が損金算入可能となっています。

B.支出交際費(年800万円)まで損金算入

期末資本金の額が1億円以下である中小法人は支出交際費等の額のうち800万円以下の全額が損金算入でき、800万円を超える金額は損金不算入となります。


なお、AとBのいずれかを選択して損金算入することができますが、中小法人の場合、年間の接待飲食費の額が1,600万円以上になることは考えにくく、通常では800万円までの交際費を全額損金算入することが一般的でしょう。

中小法人等とは?

中小法人等とは、普通法人のうち期末資本金の額が1億円以下である法人のことをいいます。

ただし、資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人の完全支配関係がある会社等は中小法人から除かれます。

まとめ

今回は交際費の会計処理やその注意点について解説しました。

交際費は実務上もややこしい部分が多い科目になります。そのため処理の間違いも多く税務調査での指摘も多くなっているので、日頃から注意して会計処理を行うようにしましょう。