決算前に税理士へ相談すべきか?自分でやるか迷ったときの判断ポイント

決算が近づくと、毎年のように同じ相談を受けます。
「今年は税理士に頼んだほうがいいですか?」
「一応、帳簿は自分でつけているんですが……」
この質問、実は正解が一つではありません。
業種・売上・取引内容・本人の関与度によって、判断は変わります。
私自身、
「この状態なら自分でやっても大丈夫」
とお伝えすることもありますし、
「税理士を入れた方がいい」
と止めることもあります。
この記事では、
決算前に税理士へ相談すべきかどうかを考えるための整理を、現場での判断基準をもとにまとめます。
目次
決算を「自分でやる」こと自体は悪くない
まず前提として、
決算を自分でやる=間違いではありません。
実際に、以下のようなケースでは、決算を自分で進めても大きな問題にならないケースもあります。
- 売上がシンプルで、件数が少ない
- 取引がほぼ国内で、預金中心
- 記帳ルールが毎年変わっていない
- ある程度、経理や簿記の知識がある
- 処理に迷わない程度に仕訳を理解できている
- 現金・預金・未払金(クレジットカード)・売掛金など、帳簿残高が実際の残高と合っている
- 申告書の数字が、去年と大きく変わっていない
これらがすべて当てはまるなら、
少なくとも「決算前に慌てる」状態ではありません。
問題は、
“自分でやれる状態かどうか”を判断せずに進めてしまうことです。
決算前に一度立ち止まったほうがいいサイン
次のような感覚が少しでもあれば、
決算前に誰かに相談したほうがいいタイミングです。
- 去年の申告内容を正直あまり覚えていない
- 今年は取引内容が増えた/変わった
- 経費の判断で毎回ネット検索している
- この処理で合っているか不安だが進めている
- 「たぶん大丈夫」で仕訳を入れている
- 残高が合っているかわからない
特に多いのが、
「とりあえず仕訳を入れてから考える」状態。
この段階で進めてしまうと、
後から修正する方が手間も費用も増えます。
(※ 仕訳の考え方が曖昧な場合は、仕訳について解説した記事も参考になります▶〔よくある仕訳の例〕)
税理士に相談する前に、まず整理しておきたいこと
相談=丸投げ、というわけではありません。
実務の現場では、
「どこまで関わるか」を整理したうえで、
顧問契約を検討するケースも多くあります。
決算前の相談は、
いきなり依頼を決めるためのものではなく、
「今の状態をどう見るか」を確認する場として
使われることもあります。
実際、
決算が終わってからよりも、
決算前の方が判断材料は多く、
選択肢も広がります。
私が「相談した方がいい」と判断する分かれ目
決算前に相談すべきかどうかを考えるとき、
売上の金額や利益の多さだけで判断することは、ほとんどありません。
私が見ているのは、
数字そのものよりも、判断が必要な場面がどれくらい増えているかです。
たとえば、
- 去年と同じ処理で進めていいのか迷う場面が増えた
- 「一応この処理にしている」という仕訳が出てきた
- その処理を、後から説明できる自信がない
- 調べながらでないと手が止まってしまう
こうした状態になると、
決算作業は単なる入力や集計ではなく、
一つ一つ選びながら進める作業に変わっていきます。
判断が増えると、
その場では前に進めたとしても、
後から修正が必要になることが少なくありません。
実際、
「決算は一応終わったけれど、これで合っているか不安」
という相談は、毎年決算後にも出てきます。
ただ、決算が終わってからでは、
選べる選択肢がかなり限られてしまいます。
迷いながら進めている感覚が出てきた時点で、
一度立ち止まって全体を整理したほうが、
結果的に時間も負担も軽くなることが多い。
それが、
私が「この段階なら、一度確認したほうがいい」と
判断する分かれ目です。
まとめ:決算前の相談は「失敗しないための確認」
決算前に税理士へ相談すべきかどうかは、
- 自分でできるか
- 依頼した方が楽か
ではなく、
「判断が増えてきているかどうか」
で考えると、判断しやすくなります。
すべてを任せる必要はありません。
でも、迷いながら進める決算ほど、後で修正が大変です。
一度立ち止まって整理する。
それだけで、決算の不安はかなり減ります。

著者紹介
「小さな会社と個人事業主の専門税理士」、吉川拓税理士事務所の吉川です。
10年以上にわたり、小規模事業者や個人事業主の皆さまを税理士としてサポートしてきました。
現在は大阪市で開業していますが、オンライン対応により地方や離島を含め全国対応しております。
会計や税金が苦手な方にも、専門用語を使わず分かりやすく、親身に寄り添うことを心がけています。
趣味はトイプードル、コーヒー、読書。お気軽にご相談ください。

