パソコン購入(Mac・Windows)の勘定科目と仕訳を税理士が解説|消耗品費?固定資産?実務で迷う判断ポイント

Mac・Windowsパソコン購入

パソコンは、今やほとんどの事業に欠かせない設備ですが、「消耗品費でいいのか?」「固定資産にすべきか?」と悩まれる方が非常に多い科目です。特に10万円・20万円・30万円という金額ラインは、税務上の取扱いが大きく変わるため、判断を誤ると税額や償却資産税に影響が出ることもあります。本記事では、大阪市で実際に寄せられるご相談を踏まえ、税理士の視点でパソコン購入時の勘定科目と仕訳を整理します。

パソコン購入時の会計処理の基本と使われる勘定科目

■ パソコンは原則「工具器具備品」

Mac・Windowsを問わず、業務用に購入したパソコンは会計上「工具器具備品」に該当します。ただし、購入金額や適用する制度によっては「消耗品費」として処理できるケースもあります。

● 購入金額が10万円未満の場合

  • 取得価額が10万円未満であれば、少額減価償却資産として全額をその期の経費にできます。

    勘定科目:消耗品費

● 購入金額が10万円以上20万円未満の場合

  • 10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」として3年間で均等償却する方法が選択できます。

    勘定科目:一括償却資産(または工具器具備品)

● 購入金額が30万円以上の場合

  • 通常の固定資産として計上し、耐用年数(パソコンは原則4年)で減価償却します。

    勘定科目:工具器具備品

● 購入金額が10万円以上30万円未満の場合

  • 青色申告を行っている中小企業者の場合、取得価額が10万円以上30万円未満の資産については、少額減価償却資産の特例(租税特別措置法第67条の5)を利用することができます。この特例を適用すると、年間300万円を上限として、取得した年度に全額を経費計上することが可能です。そのため、実務上は30万円未満の備品について一括で費用処理している企業が多く見られます。

■ 償却資産税との関係

償却資産税(地方税)は、事業で使用する固定資産に対して課される税金です。パソコンが償却資産税の申告対象になるかどうかは、前述の区分ごとに次のように整理できます。

  • 10万円未満で消耗品費として処理 → 申告対象外
  • 10万円以上20万円未満で一括償却資産として処理→ 申告対象外
  • 10万円以上30万円未満で特例により全額経費 → 申告対象
  • 減価償却資産として計上したもの → 申告対象

※少額減価償却資産の特例を使って全額を経費処理している場合でも、償却資産税の申告対象から外れるわけではありません。会計上の処理と償却資産税の取り扱いは必ずしも一致しないため、区分の選択には注意が必要です。

パソコン購入時の具体的な仕訳例(Mac・Windows共通)

ここからは、実務で特に相談の多い金額帯別に、具体的な仕訳例を見ていきます。

① 10万円未満:消耗品費

●仕訳例

例:ノートPC 88,000円(税込)を購入

借 方金 額貸 方金 額
消耗品費88,000現金88,000

●ポイント

・全額を当期の経費に計上
・償却資産税の申告は不要

② 10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等)

●仕訳例

例:Windowsパソコン 165,000円(税込)を購入
購入時:

借 方金 額貸 方金 額
一括償却資産165,000現金165,000

決算時(3年均等償却):

借 方金 額貸 方金 額
減価償却費55,000一括償却資産55,000

●ポイント

・「工具器具備品」での処理も可能
・償却資産税の申告は不要

③ 10万円以上30万円未満:少額減価償却資産の特例

●仕訳例

例:MacBook 280,000円(税込)を購入(減価償却費として処理する方法を採用した場合)
購入時:

借 方金 額貸 方金 額
工具器具備品280,000現金280,000

決算時:

借 方金 額貸 方金 額
減価償却費280,000工具器具備品280,000

●ポイント

・青色申告を行っている中小企業者であることが適用の前提
・年間300万円を限度として、取得年度に全額を費用計上することが可能
・法人の場合は、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を申告書に添付する必要がある
・個人事業主の場合は、租税特別措置法第28条の2を適用している旨を申告書に記載する必要がある
・会計上は全額経費処理していても、償却資産税の申告対象となる点に注意が必要
・消耗品費として処理することも可能だが、他の消耗品費に紛れて内容が分かりにくくなるケースがあるため、管理面では注意が必要

④ 30万円以上:通常の減価償却

●仕訳例

高性能PC 600,000円(税込)を購入
購入時:

借 方金 額貸 方金 額
工具器具備品600,000現金600,000

決算時:

借 方金 額貸 方金 額
減価償却費150,000工具器具備品150,000

●ポイント

・耐用年数4年として、通常の減価償却を行う
・償却資産税の申告対象となるため、申告が必要

実務で多い質問・失敗例と税理士の判断ポイント

ここでは、当事務所に実際によく相談される内容をまとめています。

①本当は特例が使えたのに固定資産処理していた

「前任の経理が全部固定資産にしていて…」という相談は少なくありません。

税務的に誤りではありませんが、資金繰りや利益調整の観点では“もったいない処理”になることもあります。

②償却資産税の申告漏れ

当事務所でも、「固定資産として計上しているのに、償却資産税の申告が漏れている」というご相談を非常によく受けます。

このように、選択した会計処理によって償却資産税の申告要否が変わる点が混乱しやすいポイントとなっているため、あらかじめ申告が必要かどうかを整理しておくことが重要です。

買い替え時の除却処理を忘れている

パソコンは入れ替え頻度が高く、古いPCの帳簿残高が残ったままになりがちです。

この場合は「除却損」として整理する必要があり、決算時に修正が発生することもあります。

④MacかWindowsかで違いはある?

結論として、税務上の取扱いに違いはありません
ただし、Macは高額になりやすく、30万円ラインを超えやすい点は実務上の注意点です。

まとめ

パソコン購入時の会計処理は、金額によって「消耗品費」「一括償却資産」「固定資産」と大きく分かれ、償却資産税の取扱いも絡むため慎重な判断が必要です。特に10万円・20万円・30万円のラインは実務で迷いやすいポイントです。大阪市で事業をされている方で、パソコン購入時の処理や過去の処理に不安がある場合は、当事務所でも個別に状況を確認したうえでアドバイスしています。お気軽にご相談ください。