医院(診療所)の収入時の注意点とは?

クリニックを開業されたばかりの院長先生の中には医院の経理処理について詳しくない方も多いと思います。
そこで今回は医院の経理処理について社会保険診療報酬など収入面の一般的な処理や注意点について解説します。

医療機関の収入について

医療機関の収入は大きくは現金収入と振込収入があります。また保険収入と自費収入に分けることもできます。

現金収入

現金収入には患者さんからいただく診療費といった窓口負担金や物品の販売収入などさまざまなものがあります。

健康保険からの収入

医療機関の収入は健康保険からの収入が大半を占めます。健康保険はサラリーマンが加入している保険で、自営業者が加入しているものは国民健康保険になります。

これらの収入は審査支払機関である「社会保険診療報酬支払基金」「国民健康保険団体連合会」に請求する「社会保険診療収入」と「国民健康保険収入」がありますが、これらは実際は請求時から2ヶ月遅れで入金されます。

会計処理としては発生主義での記帳が望ましいですが、入金があったときに収益計上している医院の場合には決算時には発生主義に切り替えて処理をする必要があります。

介護保険などからの収入

保険収入には健康保険からの収入以外にも介護保険からの収入自賠責収入労災収入などがあります。

自賠責収入や労災収入の場合は2ヶ月遅れでの入金と決まっているわけではないので未収金の管理をきっちりしておかなければなりません。

その他自由診療収入など

自由診療収入は健康保険が適用されないもので、具体的には診断書代やインフルエンザ注射代、歯科医院での保険対象外の材料などを用いた場合の収入があります。

注意点!

・患者さんが入院した場合に民間の保険会社から医療保険を受け取るために診断書を作成した場合の手数料は雑収入として処理します。

・自由診療収入は患者さんと直接現金のやりとりをしていることから現金商売をしているような状況となるため、税務調査の際は指摘が多くなる項目なので注意が必要です。きちんと説明ができるようにしておきましょう。

会計処理(仕訳)の方法

会計処理については以下のように処理します。

現金収入があった場合

社会保険収入

日付借方貸方摘要
5月10日 現金 50,000 社保窓口収入 30,0005/10分日計表
国保窓口収入 20,0005/10分日計表

自由診療収入

日付借方貸方摘要
5月10日 現金 20,000 自由診療収入 20,0005/10分日計表

その他

日付借方貸方摘要
5月10日   現金 10,000   その他の医業収入 10,0005/10分日計表

現金収入分を普通預金へ入金

日付借方貸方摘要
5月10日普通預金 80,000 現金 80,000 5/10分

審査支払機関からの保険診療報酬の場合

5月分の審査支払機関への請求

日付借方貸方摘要
5月31日 医業未収金 600,000社保請求収入 600,000社保5月分
5月31日 医業未収金 400,000国保請求収入 400,000国保5月分

審査支払機関から5月分の入金

日付借方貸方摘要
7月25日普通預金 540,000医業未収金 600,000社保5月分入金
事業主貸(仮払源泉税) 50,000
審査等査定減 10,000
7月25日普通預金 395,000医業未収金 400,000国保5月分入金
審査等査定減 5,000

まとめ

今回は医療機関の収入面について説明をしました。

医療機関の収入は健康保険からの収入が大半を占めます。これらの入金は2ヶ月遅れになるため開業当初などは資金繰りが厳しくなりがちなのできちんと計画的な準備をしておきましょう。