Chatwork利用料の勘定科目と仕訳を徹底解説|税理士が伝える実務のポイント

Chatworkは、日本国内の中小企業や士業事務所で広く使われているビジネスチャットツールです。タスク管理やファイル共有、社内外のやり取りなど、メールに代わる新しいコミュニケーション基盤として定着してきました。しかし、実際に経理処理をするときに「Chatworkの利用料はどの勘定科目にするべきか?」と迷う場面も少なくありません。本記事では、税理士としての実務経験を踏まえながら、Chatwork利用料の勘定科目や仕訳の実務的な判断基準、消費税やインボイス制度対応まで分かりやすく解説していきます。
目次
Chatwork利用料の基本的な勘定科目の考え方
一般的には「通信費」で処理するのが安心
Chatwork利用料は、実務上「通信費」で処理するのがもっとも一般的です。理由はシンプルで、Chatworkはメールや電話に代わる通信手段としての性格を持っているからです。SlackやZoomなどの他のクラウド型コミュニケーションサービスも同様に「通信費」で処理されるケースが多く、サービスごとに科目を分けるよりも統一しておくほうが経理管理上スッキリします。
実際、大阪市内の顧問先でも「Chatwork利用料を雑費で処理していた」ケースがありましたが、年度末に他のクラウドサービスとまとめて見直した結果、「通信費」に統一したことで決算資料が格段に見やすくなったという経験があります。
他に使われる可能性のある勘定科目
- 支払手数料
Chatworkの利用料は本来「通信費」で処理するのが適切ですが、企業によってはクラウドサービスの契約料やオンラインサービス利用料をまとめて「支払手数料」で処理しているケースもあります。経理ルールを揃える目的でこうした運用をしている会社もあるため、社内の会計方針に従うのが望ましいでしょう。 - 雑費
少額で一時的な利用の場合、やむを得ず「雑費」として処理するケースもあります。ただし、他に適切な勘定科目(通信費や支払手数料)がある場合はできるだけそちらを使うべきです。雑費は内容が不明確になりやすく、後から見直したときに管理が難しくなるからです。
税理士の視点からのおすすめ
当事務所の実務感覚では、原則「通信費」で処理し、特別な事情がある場合に限って「支払手数料」や「雑費」を検討する、という整理がもっともわかりやすく、実務上も安心できると考えています。
Chatwork利用料の仕訳例と実務で注意すべきポイント
月額課金の仕訳
Chatworkは多くの企業で月額課金制を利用しています。その場合の基本仕訳は次のとおりです。
借 方 | 消費税区分 | 金 額 | 貸 方 | 消費税区分 | 金 額 |
---|---|---|---|---|---|
通信費 | (課税仕入) | 840 | 未払金 | (不課税) | 840 |
クレジットカード払いにしている場合は、一般的には貸方が「未払金」となります。
年額課金の仕訳
Chatworkは年額プランも提供しており、こちらを利用すると一度に12か月分の料金を支払うことになります。経理処理では「前払費用」として資産計上し、各月に振り分けて経費にする方法が原則です。
ただし、短期前払費用の特例を利用することで、一括で損金算入できるケースもあります。これは税務上のメリットでもあり、実務でよく検討されるポイントです。
Chatwork利用料と消費税・インボイス対応
インボイス制度への対応
Chatworkは日本国内の企業が運営しているため、すでに適格請求書発行事業者として登録済みです。そのため、消費税の仕入税額控除を受けるうえで原則的に問題はありません。
実務での注意点
- 請求書に登録番号が記載されているか必ず確認しましょう。
- 消費税額が明確に分かる形で表示されているかをチェックしてください。
- 特にクラウドサービスでは、海外事業者提供のサービス(例:Slack、Canvaなど)も多いため、「国内サービスだから大丈夫」と思い込むのは危険です。
実際、大阪市の顧問先でも「Chatwork利用料は不課税と思い込んで処理していた」というケースがあり、確認のうえ修正したことがあります。インボイス制度開始後は、税務署もクラウドサービスの請求書を重点的に確認している印象があります。
まとめ
Chatwork利用料は、基本的に「通信費」で処理するのがもっとも分かりやすく、他のクラウドサービスと統一することで管理上も安心です。年額契約や消費税処理では誤りやすいため、仕訳前に請求書をよく確認し、必要に応じて「前払費用」や「短期前払費用の特例」を検討することが重要です。
当事務所(大阪市)は、Chatworkをはじめとするクラウドサービス利用に伴う会計処理・税務対応を全国対応でサポートしています。もし仕訳や勘定科目の選択に迷ったり、インボイス対応に不安がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

著者紹介
「小さな会社と個人事業主の専門税理士」、吉川拓税理士事務所の吉川です。
10年以上にわたり、小規模事業者や個人事業主の皆さまを税理士としてサポートしてきました。
現在大阪市で開業しています。
会計や税金が苦手な方にも、専門用語を使わず分かりやすく、親身に寄り添うことを心がけています。
趣味はトイプードル、コーヒー、読書。お気軽にご相談ください。