【税理士が解説】Canva利用料の勘定科目と仕訳|経費処理で迷わないためのポイント

仕訳・会計処理

近年、多くの企業や個人事業主がデザインツール「Canva(キャンバ)」を活用するようになりました。名刺、チラシ、SNS投稿用の画像、プレゼン資料などを誰でも簡単に作成できることから、広告・広報分野だけでなく日常業務でも利用が広がっています。しかし、経理担当者や個人事業主からは「Canvaの利用料って、どの勘定科目で処理すればいいの?」「仕訳はどうすれば?」というご相談を多くいただきます。
本記事では、Canva利用料の勘定科目や仕訳、年間契約の取り扱い、消費税処理の注意点を、実務での事例を交えながら解説します。大阪市を拠点とする当事務所の経験も交えていますので、同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

Canva利用料の会計処理と勘定科目

Canvaとは?

Canvaは、オーストラリア発のクラウド型デザインサービスで、無料版から始められますが、より多くのテンプレートや素材を利用できる有料プラン「Canva Pro(プロ)」や「Canva for Teams(チームス)」があります。料金は月額課金と年間契約があり、クレジットカード払いが一般的です。

クラウドサービスのため、ソフトウェア購入のように資産計上する必要はありません。利用料はサービスの対価であり、経費処理の対象となります。

勘定科目の候補

Canvaの利用料は、以下のような勘定科目で処理するケースが多く見られます。

  • 通信費
    他のクラウドサービス(Microsoft 365、Zoom、ChatGPTなど)と同様に「通信費」で処理するケースが多く、統一性もあり分かりやすいです。
  • 消耗品費
    デザイン作成に関連付けて処理する場合。ただし継続的な利用を前提とするサービスのため、通信費にまとめた方が管理しやすいと感じます。
  • 広告宣伝費
    Canvaをチラシ、SNS投稿画像、Webサイトの広告バナーなど、外部向けの宣伝・集客活動に活用する場合には「広告宣伝費」で処理することも可能です。社内資料であれば通信費、営業ツールであれば広告宣伝費、と使い分けるのが実務上の判断基準になります。

実務での仕訳例

Canva Pro(月額1,500円)をクレジットカード払いした場合の仕訳は以下のとおりです。

借 方金 額貸 方金 額
通信費1,500未払金1,500

👉 当事務所の顧問先(大阪市内のデザイン関連会社)でも、クラウドサービス利用料をすべて「通信費」で統一処理する方針を採用しています。これにより「クラウドサービスにどれくらい支払っているのか」が一目で分かり、経営判断もしやすくなったと好評です。

他のクラウドサービスとの統一性を意識する

勘定科目をバラバラにすると?

実務でよくあるケースですが、Canvaは「消耗品費」、Zoomは「会議費」、Microsoft 365は「通信費」とバラバラに処理している企業があります。一見問題なさそうですが、いざ経営分析をしようとすると「クラウドサービス全体でどれくらいコストがかかっているのか」が把握できません。

さらに、銀行や税務署に提出する決算書の内訳明細においても、不自然な科目分けが散見されると「経理処理に一貫性がない会社」という印象を与えてしまいます。

統一するメリット

  • 経費の内容を整理しやすい
  • 同じ科目で処理することで、会計データの比較がスムーズになる
  • 税務調査や融資対応でも説明がスムーズ

👉 実際、大阪市内の顧問先でも「Canvaを広告宣伝費で処理していた」ケースがありました。広告宣伝費での処理自体は誤りではありませんが、社内資料作成と広告用で混在していたため科目が分かれてしまい、会計管理が煩雑になっていました。最終的には「通信費」に統一し、処理をシンプルにすることで経理担当者の負担が軽減された例です。

年間契約の処理と短期前払費用の特例、消費税処理

年間契約の処理

Canva Proは年間払いで契約すると割安になるため、多くの企業が年間契約を利用しています。年間一括払いをした場合、原則としては翌期以降にかかる分は「前払費用」として処理し、利用期間に応じて費用化する必要があります。

短期前払費用の特例

ただし、税務上は「短期前払費用の特例」を使えば、支払時に全額を当期の経費にすることが可能です。

適用条件は以下のとおりです。

  • 契約期間が1年以内であること
  • 毎期継続して同じ処理をしていること

この特例は、中小企業や個人事業主にとって大きなメリットとなります。

仕訳例(年間15,000円をクレジット払い、特例適用時)

借 方金 額貸 方金 額
通信費15,000未払金15,000

消費税処理

Canvaは日本のインボイス制度に対応しており、すでに「登録番号:T2700150107555」で適格請求書発行事業者として登録されています。したがって、原則として消費税の仕入税額控除の対象となります。

ただし、実務上の注意点として、Canvaから自動的に発行される請求書には登録番号が記載されないケースがあります。その場合は、Canvaのサポートに問い合わせて、登録番号や税率などを追加修正してもらう必要があります。

このように、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の前提となりますので、利用者側での請求書管理が欠かせません。

まとめ

Canva利用料はクラウドサービス利用の一環として、「通信費」で処理するのが分かりやすく、他サービスと統一することで管理上もスムーズになります。年間契約をした場合は前払費用の扱いを理解しつつ、短期前払費用の特例を活用することで経理処理がスムーズになります。さらに、消費税処理についてはインボイス制度への対応も欠かせません。経理処理は「正確さ」に加えて「一貫性・管理のしやすさ」が重要です。当事務所(大阪市)では、Canvaを含めたクラウドサービス利用料の処理や、税務調査・融資に耐えうる会計処理についてのご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。