ChatGPT利用料の勘定科目と仕訳|税理士が解説する実務ポイント

ChatGPT利用料の勘定科目と仕訳|税理士が解説する実務ポイント

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIサービスを業務で活用する企業や個人事業主が急増しています。便利な一方で、利用料を経費計上する際に「どの勘定科目を使うべきか?」と迷うケースも少なくありません。本記事では、税理士の視点からChatGPT利用料の勘定科目・仕訳方法を整理し、実務で迷わないためのポイントを解説します。

ChatGPTのサービス概要と利用料

ChatGPTは米国OpenAI社が提供するAIチャットサービスで、文章作成、データ整理、翻訳、アイデア出しなど幅広い業務で利用できます。日本国内の企業でも、資料作成の効率化やマーケティング支援、顧客対応の補助など、ビジネスの現場で着実に利用が広がっています。

料金は「ChatGPT Plus」の場合、月額20ドル(約3,000円前後)で提供されており、クレジットカード決済で請求されます。

令和7年1月に 「OpenAI, LLC」がインボイス登録番号(T4700150127989)を取得 しました。これにより、ChatGPTの利用料も仕入税額控除の対象として取り扱うことが可能となっています。これは実務上非常に大きなポイントで、利用料の金額に関わらず仕入税額控除が可能という点で令和6年までの不便さが解消された形です。

ChatGPT利用料の勘定科目と仕訳の考え方

ChatGPT利用料をどの勘定科目で処理するかは、利用目的によって判断します。

  • 通信費:インターネット関連サービスの一環として利用する場合。
  • 支払手数料:事業者へのサービス利用料として扱う場合。

仕訳例(1ドル=150円、月額20ドルの場合)

借 方消費税区分金 額貸 方消費税区分金 額
通信費(課税仕入)3,000未払金(不課税)3,000

※クレジットカード利用明細に基づいて「未払金」などで処理します。

消費税の取り扱い

前述の通り、ChatGPT利用料は 課税仕入れ です。
さらに令和7年1月以降はOpenAI, LLCがインボイス登録事業者となったため、仕入税額控除の対象 として処理可能です。実務的には、請求明細やクレジットカードの利用明細を保存し、インボイス番号を確認しておくことが重要になります。

経費算入の原則

経費計上できるのはあくまで「事業利用分」に限られます。プライベート利用と混在させると税務調査で否認されるリスクがあります。したがって、事業用アカウントや事業用クレジットカードを分けて利用することが原則 です。

ChatGPT利用料と他のクラウドサービスとの比較

ChatGPTの利用料は、他のクラウドサービスの経費処理と基本的な考え方は同じです。しかし、実務上は性質の違いから勘定科目の選び方に工夫が必要になる場合があります。

たとえば、

  • DropboxやGoogle Drive …ファイル保存・共有サービス。→ 一般的に「通信費」や「支払手数料」。利用用途が事務処理の一環として明確。
  • Zoom …オンライン会議システム。→ 「通信費」や「会議費」で処理するケースが多い。利用場面が対外的に説明しやすい。
  • CanvaやAdobe Creative Cloud …デザイン・画像作成ツール。→ 「支払手数料」や「消耗品費」として処理する場合も。広告宣伝や資料作成と関連付けやすい。

このように並べてみると、ChatGPTは従来型の「業務補助ツール」とはやや位置づけが異なります。汎用性が高いこともあり事業との関連性をいかに説明できるかが、経費計上において大きなポイントとなります。

実際、当事務所の顧問先でも「ChatGPTを契約してみたが、どういう用途であれば経費と認められるのか」といったご相談をいただくことがあります。その際には、「どのような業務にChatGPTを活用しているのか」を事業の流れの中で整理しておくことが重要です。

例えば、社内資料の作成補助や顧客対応の効率化など、明確に事業活動の一部と位置づけられる利用方法であれば、経費として認められる可能性が高まります。一方で、個人的な趣味や学習目的での利用は、事業との関連性がないため経費としては認められません。ChatGPTの利用料を経費計上する際には、あくまで「事業に必要な支出」であることを説明できるように整理しておくことが重要です。

クラウドサービスの経費処理は似ているように見えますが、ChatGPTの場合は特に新しいサービスであるため、「これは事業活動に必要な支出である」という位置づけを明確にしておくことが、後々の税務調査対応にも有効です。

まとめ

ChatGPTの利用料は、勘定科目としては「通信費」などで処理するのが一般的ですが、大切なのは事業との関連性を明確にして経費計上することです。当事務所では、大阪を拠点としながらオンラインを通じて全国の事業者様をサポートしています。ChatGPTなど経費処理や税務面で不安を感じる方は、ぜひお気軽にご相談ください。