信用保証協会の保証料とは?仕訳をわかりやすく解説!

中小企業が金融機関から資金調達を行う場合、信用保証協会に債務を保証してもらうと融資を受けやすくなるため、多くの中小企業が信用保証協会を利用しています。今回は、この信用保証協会と保証料について会計処理などを解説します。

信用保証協会とは?

信用保証協会とは、中小企業などの円滑な資金調達を支援するために信用保証協会法に基づいて設立された公的機関のことをいいます。

中小企業が資金調達をしようとしても経営上のリスクが大きく思うように金融機関から借入ができない場合があります。しかし、信用保証協会が企業の債務の保証をすることにより融資が受けやすくなります。もし借入の返済が滞った場合は、信用保証協会が企業の代わりに金融機関へ借入を弁済します。弁済が行われた場合は企業は信用保証協会に借入を返済します。

信用保証協会は47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあるため事業者は近隣の信用保証協会で保証申込みを行うことが可能です。

信用保証料とは?

事業者が信用保証協会へ申し込みを行ない保証の承諾があった場合、事業者は信用保証料を金融機関を通じて信用保証協会へ支払うこととなります。

この保証料を支払うことで金融機関から融資が実行され、借入については金融機関へ返済を行います。

保証料率は条件によって変わりますが概ね1%〜2%程度で原則として融資の実行時に全額を支払います。

保証料の仕訳は?

信用保証料の仕訳は前払費用として処理する場合と繰延資産として処理する場合がありますので、以下の具体例を使って解説します。

具体例:当期首に金融機関から資金調達を行い信用保証協会へ保証期間5年で信用保証料60万円を普通預金から支払った場合

なお、借入金の返済時の仕訳などの詳細については以下のページをご覧ください。

前払費用として処理する場合

借 方金 額貸 方金 額
支払手数料120,000普通預金600,000
前払費用120,000
長期前払費用360,000

注意点

・当期分を「支払手数料」、翌年1年分を「前払費用」、さらに1年を超えるものを「長期前払費用」として処理します。

・2年目以降も同様に保証期間にわたって費用処理を行います。

繰延資産として処理する場合

繰延資産とは、すでに支払済または支払義務が確定しそのサービスや物品の提供を受けた場合に、その効果が将来にわたって及ぶものをいいます。

この繰延資産として処理する場合の初年度の仕訳は支払時と決算時に下記の仕訳を行います。

支払時の仕訳

借 方金 額貸 方金 額
長期前払費用600,000普通預金600,000

決算時の仕訳

借 方金 額貸 方金 額
繰延資産償却120,000長期前払費用120,000

注意点

・支払時に全額を「長期前払費用」として計上し、決算時に当期分を「繰延資産償却」として計上します。

なお、以下の法人税法施行令134条の規定により20万円未満の繰延資産については一括費用処理が認められていますので、信用保証料が20万円未満の場合は一括で費用処理を行う場合もあります。

【法人税法施行令第134条】 
内国法人が、第六十四条第一項第二号(均等償却を行う繰延資産)に掲げる費用を支出する場合において、当該費用のうちその支出する金額が二十万円未満であるものにつき、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

まとめ

今回は資金調達を行う際に利用する信用保証協会と信用保証料の仕訳などについて解説しました。

信用保証料の会計処理は前払費用として処理する場合と繰延資産として処理する場合の2通りがあり、決算でも仕訳の計上が必要となるため少しややこしいですが、会計処理の状況に応じて適切な仕訳を行うようにしましょう。