減価償却費は必ず計上しなければならないのか?

固定資産を購入した場合には減価償却を通じて費用化していきますが、この減価償却費は必ず計上しなればいけないものなのでしょうか。赤字の場合など計上したくない場合もあるかと思いますので、今回はこの減価償却費の計上について個人事業主と法人の場合に分けて解説をします。

減価償却とは?

減価償却とは、購入した固定資産の価値が時間とともに減少すると考え、その資産の取得価額を使用する期間(耐用年数)にわたって毎期の費用として計上する会計処理のことをいいます。

もし購入時に一括での費用計上を認めると複数年わたって収益の獲得に貢献しているにもかかわらず、それが利益に適正に反映されないことになります。そのため費用収益対応の原則に基づき適正な利益や税金を計算するためにこのような手続きを行います。

費用収益対応の原則とは

費用収益対応の原則とは、費用及び収益はその発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならないとする会計上のルールです。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、減価償却費の計上は経理の内容にかかわらず、償却費の全額を必要経費に算入するという強制償却のため必ず計上しなければなりません。

注意点

個人事業主の場合は、事業用のみの使用ではなくプライベートでも使用している場合は、家事按分をしなければないけませんが、減価償却費も同様にプライベートでの使用がある場合は家事按分をしなければなりません。

法人の場合

法人の場合は個人とは違い償却することができる上限額まで減価償却費を計上することができる任意償却となっているため自由に選択することができます。

減価償却費を計上しないことによるデメリット!

個人事業主が減価償却費の計上を忘れた場合や法人が減価償却費を計上しなかった場合でも、翌年度にその分を含めて2年分を計上することができるわけではないので注意をしましょう。

また法人が利益調整の目的で減価償却費を計上しなかった場合など減価償却費の限度額は確定申告書類を見ればわかるため、たとえ任意償却であっても融資の観点からは減価償却費を計上しておく方が賢明であると考えられます。

まとめ

今回は減価償却費を計上しなければならないかどうかについて解説をしました。

法人の場合は任意償却になるため赤字の場合は計上したくない場合もあるかもしれませんが、決算書ではわからなくても税務書類を見れば減価償却費を上限まで計上しているかどうかはわかるため融資を受ける際は注意しましょう。