リース取引の会計処理をわかりやすく解説!
リース取引の会計処理は経理の担当者でも難解なイメージから苦手にされている方が多い項目になります。処理の種類自体が多いので複雑ですが、今回はリース取引について代表的な会計処理を解説します。
目次
リース取引とは?
リース取引とは、物件の所有者である貸手が合意された期間にわたり借手に当該物件を使用収益する権利を与え、借手が使用料を支払う取引のことをいいます。
リース取引の種類は?
リース取引には以下の2種類があります。
⚫︎ファイナンスリース取引
⚫︎オペレーティングリース取引
ファイナンスリース取引はさらに所有権移転ファイナンスリース取引と所有権移転外ファイナンスリース取引にわかれます。
オペレーティングリース取引とは、ファイナンスリース取引以外のリース取引をいいます。
ファイナンスリース取引とは?
ファイナンスリース取引とは、以下の2つの条件を満たすリース取引のことをいいます。
⚫︎解約不能・・・リース期間の中途において契約を解除することができない取引またはこれに準ずるリース取引
⚫︎フルペイアウト・・・借手が使用に伴うコストをすべて負担する契約
具体的には以下のいずれかに該当すればファイナンスリース取引となります。
⚫︎現在価値基準・・・リース料総額の現在価値が見積現金購入価額の概ね90%以上であること
⚫︎経済的耐用年数基準・・・解約不能のリース期間が経済的耐用年数の概ね75%以上であること
所有権移転ファイナンスリース取引と所有権移転外ファイナンスリース取引とは?
ファイナンスリース取引のうち、以下の①〜③のいずれかに該当する取引は所有権移転ファイナンスリース取引に該当します。
①所有権移転条項付きリース取引
②割安購入選択権付きリース取引
③特別仕様物件のリース取引
リース取引の借手の会計処理は?
リース取引はその内容に応じて会計処理方法が異なります。
以下の具体例を基に代表的な会計処理の方法を解説します。
【具体例】
資産を現金で購入した時の値段が1,000,000円
リース契約で購入した時の支払金額の総額が1,200,000円(24,000円を50回現金払い)
所有権移転ファイナンスリース取引の借手の会計処理
売買処理
売買処理はリース資産とリース債務という勘定科目を計上する処理方法となります。
①資産の取得時
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
リース資産 | 1,000,000 | リース債務 | 1,000,000 |
②リース料の支払時(利息法)
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
リース債務 | 20,000 | 現金 | 24,000 |
支払利息 | 4,000 |
③決算時
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
減価償却費 | 240,000 | リース資産 | 240,000 |
賃貸借処理
リース料総額がリース期間が1年以内のリース取引または少額なリース取引で購入時に一括費用処理することが採用されているリース取引はオペレーティング取引の会計処理に準じて賃貸借処理を行うことができます。
所有権移転外ファイナンスリース取引の借手の会計処理
売買処理
所有権移転外ファイナンスリース取引は、原則として上記のような所有権移転ファイナンスリース取引と同様の会計処理を行いますが、未経過リース料の期末残高割合が10%未満の場合は、簡便処理としてリース期間定額法や総額法が認めらています。
賃貸借処理
リース料総額がリース期間が1年以内のリース取引、少額なリース取引で購入時に一括費用処理することが採用されているリース取引、重要性の乏しいリース取引でリース契約の1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引は下記のようなオペレーティング取引の会計処理に準じて賃貸借処理を行うことができます。
中小企業の場合
中小企業は「中小企業の会計に関する指針」、「中小企業の会計に関する基本要領」により所有権移転外ファイナンスリース取引の場合は賃貸借処理が認めらているため、実務上はこの賃貸借処理で会計処理を行うことが一般的です。
オペレーティングリース取引の借手の会計処理
オペレーティングリース取引の処理は上記のような複雑な処理の必要はなく、リース料の支払時に以下の仕訳をするだけです。
借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
リース料 | 24,000 | 現 金 | 24,000 |
まとめ
今回はリース取引とその会計処理について解説しました。
リース取引は様々な会計処理がありますが、中小企業の場合、所有権移転外リース取引は賃貸借処理で行うことが可能なため会計処理の負担が緩和されています。