インボイス制度における少額特例とは?
インボイス制度には様々な負担軽減措置が設けられていますがその中に少額特例という制度があります。今回はこの少額特例を中心に解説します。
少額特例とは?
少額特例とは、少額の課税仕入れにおいてはインボイスの保存がなくても一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができるという制度です。
少額特例における少額とは『税込10,000円未満』の取引を指します。
適用対象者は?
少額特例の適用対象者は次のいずれかに該当する事業者となります。
・基準期間における課税売上高が1億円以下
・特定期間における課税売上高が5,000万円以下
特定期間とは?
特定期間とは以下の期間をいいます。
個人事業者 ⇨ 前年の1月1日から6月30日まで
法人 ⇨ 前事業年度開始の日から6ヶ月
注意点!
少額特例を適用できる期間は、令和5年(2023年)10月1日から令和11年(2029年)9月30日までの間に行う課税仕入れが対象となるので注意が必要です。
また税込10,000円未満かどうかの判定は、1商品ごとではなく1回の取引で判定します。
このため例えば5,000円の商品と8,000円の商品を同時に購入した場合は合計が13,000円となるため少額特例の適用はできません。
公共交通機関における特例
現行の制度では30,000円未満の課税仕入れについては領収書がなくても仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度ではこの特例がなくなります。
しかし、領収書の入手が難しい電車やバスなど公共交通機関を利用した場合には引き続き特例が用意されています。この特例は「税込30,000円未満の公共交通機関による旅客の運送」である場合に適用されます。
なお高速道路料金については領収書やクレジットカードの利用証明書を保存することにより仕入税額控除を受けることができます。
まとめ
今回は少額特例について解説しました。
インボイス制度には様々な特例があるため特例の対象となる取引かどうかや適用対象者かどうかについて把握しておく必要があります。また少額特例について適用対象期間が令和11年(2029年)9月30日までと決まっているため注意しておかなければなりません。